妙心寺には特徴のある46の塔頭寺院が点在する
四季折々に美しい塔頭寺院を訪ねてみた
妙心寺 臨済宗妙心寺派の本山で、1337(建武4)年、花園法皇が自らの離宮を禅刹に改め、関山慧玄を開山として迎えたのが始まり。その後一時衰退したが、細川勝元支援を受けて復興し、現在も46の塔頭寺院が点在する。 妙心寺の伽藍配置は、近代の禅宗伽藍の典型である七堂伽藍。勅使門から北へ、三門、仏殿、法堂、寝堂、大方丈、小方丈、大庫裏などの禅宗伽藍が一直線に並んでいる。 (通年公開) |
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妙心寺勅使門 | 広い境内 | |
伽藍が一直線に並んでいる | 大方丈と方丈庭園 | |
大雄院(だいおういん) 1603(慶長8)年、石河(いしこ)光忠が父の菩提所として創建したもので、慧南玄譲を開祖とする。客殿、書院、庫裏、表門などの文化財がある。客殿の襖絵は柴田是真(しばたぜしん)の作で、稚松図、山水図などを見ることができる。また、住職が蚕の交配を重ね「石河蚕」という繭を作らずに平面上に糸を吐く蚕を作り上げた。その糸で作った「蚕繭紙(さんけいし)」を展示している。名刺大だと、1〜2匹の蚕が3日ほどで作り上げるという。 (04年は建立400年に当たり限定公開を実施) |
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大雄院 書院と庭園 | ||
大心院(だいしんいん) 1479(文明11)年、細川政元が景堂和尚に帰依して上京区大心院町に建立し、後に細川幽斎により妙心寺に移築・中興した。阿吽庭(あうんてい)と称される庭園は、三尊石を中心に、苔と白砂と17個の石で構成された美しい枯山水庭園だ。 また、大書院は宿坊としても開放されている。 (通年公開) |
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美しい刈り込みの本堂 | 阿吽庭と称する枯山水庭園 | |
桂春院(けいしゅんいん) 1598(慶長3)年の開創で、1631(寛永8)年に中興され、近江長浜城から茶室、書院を移築した。方丈・書院のまわりに「清浄の庭」、「真如の庭」、「思惟の庭」、「侘の庭」と4つの庭があり、新緑と紅葉が美しく、酩酊苑を見ながら抹茶をいただくことができる。 (通年公開) |
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落ち着いた茶室、庭園が美しい | ||
龍泉菴(りょうせんあん) 1484(文明13)年、妙心寺十世景川宗隆を開祖に創建された。方丈は、山内塔頭でも最大規模で、江戸後期の特徴を伝える遺構として貴重な存在。襖絵は、堂本印象に師事した日本画家の油里本出氏による平成の名作である。 (非公開 04年冬に創建以来初公開された) |
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美しい方丈庭園 | 迫力のある襖絵は素晴らしい | |
退蔵院(たいぞういん) 1404(応永11)年、波多野出雲守重通が妙心寺第三世無因宗因禅師に帰依して建立した。妙心寺山内寺院中、屈指の古刹である。狩野元信の作庭という方丈庭園や、「瓢鮎図(ひょうねんず)」は水墨画の祖といわれる如拙の代表作が有名だ。 また、回遊式庭園は、昭和の名園「余香苑」と呼ばれている。 (通年公開) |
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落ち着いた感じの書院 | 枯山水 元信の庭 | |
ゆったりした余香苑 | 蹲(水琴窟) | 枝垂れ桜が美しい |
東林院 1531(享禄4)年、細川氏綱が父・高国公の菩提を弔うために建立した三友院に始まる。現在は妙心寺の塔頭寺院、山名家の菩提寺となっている。 東林院は沙羅双樹の庭園の寺として有名で、沙羅の開花時期(6月中旬〜下旬)のみ公開される。庭園には樹齢300年といわれる沙羅が植えられ、周囲には真っ白な散り花が美しい。沙羅の花は一日だけの命。与えられた一日だけの生命を精一杯咲きつくしている姿をそっと眺めたい。 (四季折々に特別公開。沙羅双樹の季節がベスト) |
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静かに眺めていたい沙羅双樹の庭園 | ||
大法院(だいほういん) 1625(寛永2)年、開祖を淡道宗廉(たんどうそうれん)、開基を長姫によって創建された。真田信之の菩提寺でもある。春の新緑、秋の紅葉の時期だけ公開される。大法院の庭は茶室の露地として造られたものだけど、待合い、飛び石、燈籠、植栽などの配置が美しかった。 (春と秋に特別公開) |
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抹茶を頂きつつ鑑賞できる露地庭は派手さのない紅葉が美しかった | ||
龍安寺(りょうあんじ) 臨済宗妙心寺派に属し、1450(宝徳2)年、徳大寺家の別荘を細川勝元が禅寺に改めたのが始まり。二度の火災で焼失し、現在は西源院の建物を移築したもの。 方丈の前庭は枯山水の石庭として著名で、国の特別史跡名勝に指定されている。白砂に15の石組を配し、虎の子渡しの庭ともいわれ、石庭といえば龍安寺を指すほど有名だ。また、秋の紅葉が素晴らしい。 (通年公開) |
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秋は紅葉のトンネルとなる | 虎の子渡しの庭 | |
アクセス 妙心寺 JR嵯峨野線(山陰本線)「花園」駅下車、徒歩10分 市バス、京都バス「妙心寺前」下車 特別公開、限定公開の寺院があるので、公開時期に注意! |